「バンブーロッドメーキング講座」のご案内







  一人の男が、バンブーロッドビルドへ挑戦した。
 
 これは、2023年その男の挑戦の記録です。

 Enohaでは、竿作りに興味がある方の為に

 随時受講を募集しております。
 
 お気軽にお問い合わせ下さい。


Enoha Rodの工房では、バンブーロッドメーキング講座に

励んでおられる方がいます。

初回は竹を割り、希望される竿の長さに竹をカットします。
2回目は、竹の曲りを矯正する為の工具と、荒削り用の木製フォームの
製作をします。

3回目は、節の突起部分をヤスリで削り、曲りくせをとります。
そして今回は荒削り。
全く初めてのことですので、戸惑いながらも懸命の作業です。

こうして、ただの竹の棒が少しずつ細長い三角形へと変化してゆきます。


5日目

ただいま、竹竿作りの講習の為、Enoha Rodの工房へ通って来ているK氏は、
某タイヤメーカーでご勤務の43歳。

趣味は、フライフィッシングはもちろんのこと、鮎釣り、ラジコンカーの
製造・操作、そしてこの度の竿作りと、ますます拡充されています。

そんなK氏も、カンナを使って竹を削るという作業は初めてのことですので、
当初は困惑。思うようにゆきませんでした。

しかし、徐々に要領を得て、ただの竹片が正三角形の竹の棒に変身してゆく様を見て

思わずニンマリ。

6日目

前回に引き続き、木製フォームによる荒削りを行いました。
その後、ティップ、バットそれぞれをテープで束ね合わせ、バインダーで
仮組みして、焼き入れです。

ここまでを文字で表せばたったこれだけのものですが、
その内容は、荒削りならば竹の断面が極力正三角形になるよう努力が必要ですし、
ティップバットを束ねる際、6本の竹を組み合わせるのはなかなか難しいものです。

さらに、バインダーの取り扱いでは、ドライブコードをパーツのどのローラーに
通すのか、また、組み合わせた竹の棒へのドライブコードの掛け方、
さらに締める為の糸をどの様に巻きつけるか、これらはこの先の接着作業時の為に、
充分な練習が必要となります。

そして、次は焼き入れです。

二重構造になったパイプの中段部の網棚に、束ねた2組の竹の棒を入れて

蒸焼きにします。




今回はこれまで。
次回は、仕上げ削りの段階に入ります。
7回、8回、そして9回目。
希望する竿のデータを、プレーニングフォームにディプスゲージで設定します。
そのフォームフォームの溝の2?3倍くらいの太さにトップ、バット、それぞれを
削ります。

この作業は、竹の断面が正三角形に削れているかどうかの確認をしながら
行います。

この時点で、竹の断面の不揃いな部分があれば、しっかり修正をします。
これができていないと、竿の仕上がりに不具合が生じますので、
慎重に慎重に仕事を進めて行きます。

これが済みましたら、竹の表皮をスクレイパーで削り取ります。
この削り取った竹の表面が基準となり、その左右を交互にカンナがけ、
ということになります。
さあ、いよいよです。
講習10回目

前回に引き続き、仕上げ削りを行いました。

希望する竿のテーパーに合わせて、削り作業を頑張ってます。
講習11回目

所定のテーパーに合わせたフォームいっぱいに削った竹(ティップ6枚、

バット6枚)を接着、貼り合わせをしますが、ティップをバインダーで締めるのには、

その細さにヒヤヒヤしながら、慎重に、慎重に作業を進めました。

講習12回目

接着剤が乾燥して、いわゆる竿になったティップとバットの曲がり、
ねじれを矯正し、その後フェルールを装着しました。
今すぐにでもフェルールを差し込んで、竿の調子をみたいところですが、
接着剤が固まるまで、今しばらく我慢です。

フェルールを準備。今回はステップダウンタイプを使用。
理由は、デザインがスマートである、という意見の一致によるものです。
フェルールの内寸を測り、竿に印を付けます。
本来なら、小刀とサンドペーパーによる手作業で行ってもらいますが、
少しでも早く竿の調子、感覚を知りたいということで、
旋盤による加工を行いました。



接着剤は、ボンドEセットというエポキシ系のもので、

これが一番信頼度が高いと思っています。
13回、14回目

フェルール装着の接着剤硬化後、フェルールを継ぎ、いわゆる竿の状態にして、
フェルールの前後に曲がりがあるか見て、あれば修正をします。
これをしっかりしておきませんと、持った時、竿が重く感じますし、
降った時に違和感が生じます。

次に、コルクリングの接着を行いますが、まず、コルクリングの断面を
サンドペーパーに軽く当てて、面を平らにします。
このことによって、整形後、リングとリングの接着面が目立たなくなります。

旋盤に竿をセットし、目的のグリップの形状に近づける為、
装着のコルクグリップにバイトを当てて削ります。
その後、サンドペーパー空研ぎ用#120、#240で整形します。

ロッドネーム、シリアルNo.などを記入します。
この時、ペンは必ず水性インクのものを使用します。
油性ですと、次の本体塗装の際、塗料で記入した文字が溶けてしまいますので
注意が必要です。
次に塗装です。
竿をモーターで回転させながら、一液ウレタン塗料をハケ塗りします。
今回は下塗りですので、多少の塗りムラは気にしないで良いでしょう。

塗料の乾燥を待ちながら、ガイド取り付けラッピングの練習をします。

糸を巻き止めるのがなかなかむづかしく、苦労をしますが、

竿の仕上がりに関わってきますので、しっかり練習していただきます。


15回目

前回は、本体の下塗り作業を行いました。
仕上げ塗料は、本人の希望によりつや消し塗料を使います。
その塗装前に、空研ぎ用サンドペーパー#400で全体を研磨します。
このことによって、ハケムラ、デコボコ等がなくなり、なめらかな仕上がりとなります。

次回は、いよいよガイドの取り付けです。
仕上がりが近づいてきました。
<番外編>
日本三大河川のひとつである筑後川は、
源は大分県、熊本県の両県で、途中経路は、福岡県、佐賀県、
流程143kmとなっており、最後は有明海へと流れます。

その筑後川は、鮎釣りでも有名で、なかでも解禁日が九州の他の河川に先駆けて
5月20日と早く、連日多くの釣り師が訪れます。

そして、我らが講習生のKさんも、その鮎釣り氏のひとり。
彼曰く、1月1日、3月1日、そして5月20日と「僕に正月が3日ある」
ということです。

そのお正月のお祝いの品を、僕の家族には多いくらいの数を頂戴しました。
本当にありがとうございました、とっても美味しかったです。



16回目

今回は、ガイドの取り付けを行いました。

前回の本体仕上げ塗装の後、自宅での宿題として、
ガイドラッピングの練習をしっかりやってもらいました。

それでも、いざ本番となると緊張するようで、
特に、トップセクションの一番目のスネークガイドとなると、
トップの細さと相まって、ガイド自体が小さいということもあって、
なかなか思うようにいかず、やり直しを重ねること数回。

しかし、それにはめげることなく、本人は「練習、練習」と言いつつ、
至って前向き。やる気充分です。

悪戦苦闘の末、トップセクションのガイド付けは終了。

次回は、ガイドをスレッドで巻き留めた部分に、エポキシ塗料を
塗る予定です。

残ったバットセクションのガイド取り付けは、これも「宿題」として、
自宅でやってくる!と、やはりやる気充分です。
〈講座17回目〉

前回、やり残したバットガイドのラッピング作業は
宿題として済ませてきましたので、
トップガイド部とグリップ上部に、赤色のスレッド3本で
飾り巻きを施しました。

次に、巻き留めたスレッド部に、2液混合型の
エポキシ塗料を塗ります。

この塗料は、A液、B液、それぞれ等量を容器に入れ、
塗料の1/2弱の溶剤を入れしっかり混ぜ合わせます。
ここで大事なことは、直ぐに塗ることはせず、暫く放置します。
6月の今の時期ならば、15?20分程で容器の液体に
「とろみ」が出てきます。
こうなれば塗装開始です。

液垂れがなくなるまで3時間程かかりますので、
その間、モーターで竿を回転させておきます。

中央にあるお玉状のものは、つるや釣具店特製のもので、
A、Bの塗料を等量取り分けるのに便利なスグレモノです。


 〈講座18日目〉

 いよいよ大詰めです。

 ガイドを巻き留めたスレッド部へのエポキシ塗料での塗装の後、 
 次は、一液タイプのウレタン塗料を使用します。

 塗り易い濃度に、溶剤を加えて調整します。
 この塗料は、前回のエポキシ系よりも乾燥が早いので、
 手早く筆を使います。

 今回の作業は、ここまでです。

 塗料の乗り具合にもよりますが、次回もう一回重ね塗りをして
 仕上り予定です。

〈講習 最終日〉

初回は2月10日。

竹割から始まり、作りたい竿の寸法に長さを合わせてカットし、
節を削るというこの一連の竿作りは、思い起こせば随分長い道程でありました。

本日、6月27日。この日まで、受講生である木下君にしてみれば、
ほぼ毎回手探りの状態であったことと思います。

それでも、自分だけの竿を、自分の手で作りたいという熱い想いが、
木下くんの原動力となり、毎回定められた時間には必ずやって来て、
確実に作業を進めてゆきました。

今回製作した7’0”#3  2ピースロッドは、Enohaの5519を基にしたものですが、
この度、Kinoshita Rodとして新生することとなりました。

まずは「おめでとう」を心より申し上げます。
木下君自身は、当然のことながら、これ一本で終わるなどということは
ありえないわけで、早くも第二段階として、7’3”  3ピースロッドを
手掛け始めたとのことです。

これからますます数多くの疑問等が出てくることと思います。

それらにいつでもお答えできるよう、準備しておりますので、

どうぞ遠慮なくご質問ください。